こんにちは。木内です。
ピアノ教室に通うお子さんをお持ちの親御さん、多くいらっしゃると思います。本人が音楽が好きだったり、情操教育に良いから、など様々な理由で通ってらっしゃると思います。
でもなかには、将来「ピアニストになりたい」「教室の先生になりたい!」という目標に向かって日々頑張っている生徒さんもいることでしょう。
また中・高校の吹奏楽部でのクラブ活動をキッカケに、例えば「もっとトランペットを勉強してみたい!」と、そこから進路として目指すお子さんもいらっしゃいます。
では、もし
ピアノが好きだから、大学は音楽大学を目指そう。そのために今まで以上に練習して頑張ろう。
と、中学2年くらいで本格的に決めたとしましょう。
さて、残りの5年間、学校の勉強以外で音楽に関することは、ピアノだけやっていれば良いのでしょうか?
いいえ、そうではありません。準備しておくべき事が山ほどあります。
今回はそんな疑問にお答えすべく、音大の入学試験にはどういったことがあるのかを、お話ししたと思います。
入学試験は何がある?
受験する大学にもよりますが、専攻楽器(この場合ピアノ)以外に、
- 音楽の基礎理論(楽典)
- 楽譜の書き取り(聴音)
- 短い曲を初見でドレミで歌う(新曲視唱)
大学にもよりますが、これらの勉強がまず受験の時に必要になってきます。
またピアノ専攻以外(声楽・弦楽器・管楽器・打楽器など)の方は、ピアノ演奏も受験項目であることが大半です。
と、その前に…
超基礎編
音楽に関する基礎知識をチェックしましょう。以下のことは大丈夫ですか?
- 楽譜に書かれている音符が、何の音か迷わずすぐに言える。(ト音記号・へ音記号両方)
- 音符を見て○○分音符が答えられる。
- 拍子の意味が分かる。
- 音符の足し算・引き算が苦労せず出来る。
(四分音符+八分音符 は 十六分音符いくつ分?など) - 「ピアノとフォルテはどちらが強く演奏する?」
まだまだありますが、このあたりは基本中の基本です。
重要なことは、楽譜は何となく分かる…ではゼッタイにダメです!
○長調、○短調
上のことはバッチリ!という人でも、意外と盲点なのが、調性について。
- ハ長調の音階を言ってみて下さい。 (音階の理解)
- ニ長調はシャープかフラット、どちらがいくつありますか? (調性から調号を答える)
- フラット二つの短調は、何短調ですか? (調号から調性を答える)
- ト長調(の調号)はシャープ1つですが、同じ調号の短調は何短調ですか? (平行調)
ピアノを習っている人は、ハノンのNo.39「音階」を練習したことがあれば憶えている…はず、です!
と言っても音階をスラスラと弾くのは結構難しいので、どうしても弾くことだけに精一杯になりがちです。
音大受験における音楽理論
調性に関することは、応用編となって出てくることはありますが、超基礎編であげたことは知っている事が前提です。言うまでもありませんが、「楽譜は読めて当たり前」と思ってください。
※どのくらい素早く読めるか、演奏出来るか…と、初見に関してはこれより上のステージ話です。
では本題。音大受験の理論に関する分野では、一例として次のような内容が出てきます。
- 楽語(音楽用語)に関する問題。結構マニアックなものも。
- 曲の演奏時間を、楽譜から読み取れる情報で計算して答える。
- 音楽史(歴史)に関する問題。
- 楽譜が用意され、特定部分の調性を答える。
また、理論よりも「和声学」と呼ばれる専門の授業で取り扱われる、和音やその進み方(いわゆるコード進行みたいなもの)に関する問題も、大学によっては基本的なレベルで出てきます。大学の授業でも頭を悩まされる難しいオハナシ。
音を聴いて楽譜に書き取る「聴音」
「音」を聴く、と書きましたが、
ポーン♪ → あ、ミの音だ。
これじゃ音当てクイズです。実際は短い曲の旋律(メロディー)や、次々と変化していく和音を聴いて、楽譜に書き起こします。一般的に演奏はピアノです。
代表的なのでは、次のように分かれます。
- 1パートのメロディーを書き取る (旋律聴音、メロディー聴音)
- 2パート(ピアノの右手、左手)のメロディーを書き取る(複旋律、対位旋律)
- 和音を書き取る(和声聴音)
よくあるのは4声。ジャーン、ジャーン、と進み、書き取る音符の数は8小節で14-16個ほど。練習で3声、応用編で5,6声もある(レア?)。
授業やレッスンで演習方法は色々ありますが、8小節の旋律聴音で一例として、
全部通す → 前半4小節 x4回 → 後半4小節 x4回 → 全部通す ※間30秒あける
など。習い始め、また難しい問題などはヒントを出してもらったり、何回も繰り返しますが、特に試験では永遠と弾いてもらえる訳ではありません。規定回数内で聴き取り、書きミスの無いように楽譜を完成させる必要があります。
え、ト音記号も書いたこと無いけど、そんなこと出来るようになるの?
練習すれば出来ます。ただとにかく日ごろから回数をこなしコツをつかんでいく必要があります。時間、というより期間が必要です。
聴音は弾いてくれる人が必要ですが、CDやPCで練習音源を鳴らしながら学習することも可能です。
実際、レッスン以外の自主学習をそれで鍛えてる生徒さんもいます。
ただ真っ新な状態からはこの方法は難しいでしょう。楽譜の書き方から始まりますので、先生にしっかり見ていただく必要があります。
実は音大受験でネックになるのが、この聴音と(ピアノ専攻以外の)副科ピアノになります。
ただし!音楽の道へすすみたいとか、音大受験とか関係なくても、教えていただける機会があったら、ぜひ聴音を挑戦してみてください。
楽譜は書けるようになると、楽譜を読むスピードが格段と上がります。
新曲視唱?……え、初見で!?
聴音とセットで大事な技術。
新曲(初見)、新しい曲、つまり今、初めて見た曲を
視唱、視(み)て、歌う
ということです。また(ピアノ等で)演奏する場合は、「奏でる」と書いて新曲視奏となります。
具体的には聴音の課題と同じくらいか、もう少し長いメロディーをドレミで歌います。
「カラオケは得意だけど、楽譜見てドレミじゃ歌えない!」って人は…
童謡でも何でもいいです。
曲のはじめの部分だけでも構いません。
今すぐにドレミで歌うことを試してください!
できれば楽譜使って。
(ちなみに固定ド・移動ドが気になるなんて場合、どちらでもよいです)
初見に話をもどしましょう。一例としては、
先生から楽譜を渡されました。
2分見ましょう。黙ってです、口ずさんではいけません。
先生が初めの音をピアノで鳴らしてくれます。
あとは自分で歌い始めましょう。
こんな感じでしょうか?ポイントとしては、
音程・リズムをできる限り正確に
テンポは途中で変えずに
息継ぎはしっかりして
伸ばす音符は伸ばして、休符はしっかり休む。
あたりでしょうか?
聴音と同じくこれも期間が必要ですが、聴音と違うのは一人でも練習できることです。
よく聴く「ソルフェージュ」って?
「楽譜を中心とした音楽理論を、実際の音に結びつける訓練」
と、wikipediaに書いてある説明が非常に分かりやすいと思います。
- 楽譜に書いてある音程・リズムを、歌や演奏で「正しく表現出来る」こと。
- 鳴っている音楽を、楽譜のルールに基づき、楽譜に書けること。
つまり聴音や(新曲)視唱が、ソルフェージュの分野に入るのです。
音に結びつける訓練、ですから、単なる座学では無く半分(以上)実技のようなものです。
トランペットなのにピアノ弾くの?
何度か出てきた「副科ピアノ」ですが、冒頭に書いたとおりピアノ専攻以外の受験者は原則必要です。実施していない大学もあったかと思いますが、それでも大学の授業でレッスンがあるはずです。それに関しては、
…そろそろ長くなってきましたので、今回はどんな程度かだけをザックリ。
- ソナチネアルバムⅠ (ソナチネ以外に、同曲集に収録されているモーツァルト・ハイドン・ベートーヴェンの3つのソナタも対象になる場合あり)
- チェルニー30番以降
- バッハ インヴェンションとシンフォニアなど…
また多くの大学でさきほど出てきた、ハノンの音階を要求されます。
管・弦・打楽器の受験では音階から始まるので、音階というモノの意識はあると思いますが、ピアノの音階はまた難しいので、しっかり練習しておきましょう。
むしろピアノ専攻者が音階を要求されないのですが… 多分出来て当たり前ということでしょう。(案外、耳の痛い話)
進みたいなら全力で挑む
今回は音大受験に関して、専門の勉強は何があるかというお話しをしてきました。
もう一点、これらのことは当然受験だけではなく、大学に入ってから引き続き勉強することです。もちろんもっとたくさんの必修講義がありますよ。
他の専門分野も同じですが、音楽もやはり専門に学ぶ以上、勉強することはたくさんあります。
その中で自分のピアノやヴァイオリン、声楽の鍛錬を日々、積んでいかなければなりません。
あ、忘れてた。音楽の事ばかり書きましたが、英語はちゃんとやっておいて下さいね。(センター試験適用の大学なら言うまでもありませんが)
また機会がありましたら、お話ししたいと思います。
今度は少し視点を変えてみるかもしれません。
少しでもお役に立てれば幸いです。
それでは、次回!
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