こんにちは、木内です。
昨日、下諏訪町立社中学校の音楽会が、同町内にある総合文化センターにて開かれました。
今回とあるご依頼でお声が聞いただき、ピアニストとして中学生の皆さんと一緒のステージへさせていただきました。
今回はなんとこちらの作品!
ベートーヴェン 交響曲第9番 -第4楽章- 「歓喜に寄せて」
そう、通称「第九」でお馴染みのアレです。一番有名所のメロディーはピアノの入門としても編曲されています。
何よりびっくりなのは、これを中学生が歌うということです。高校生であれば、僕も以前音楽常勤講師として勤めていた高校は、文化祭で歌うということがありましたのでまだ分かるのですが…(それでも難しいかと)
全校での取り組み
お声を掛けて下さった音楽担当の鷲澤先生、によると、この取り組みは今年で2年目とのこと。
当初、迷いもあったとのことですが、生徒の皆さんから「何か大きな作品に挑戦してみたい」という声が上がったとき、先生が第九をチラッと紹介したいところ「やってみたい!」という声が後押しとなり、始まったそうです。
現段階では2,3年生もまだ2年目ですし、1年生は入学してから取り組んできたと思いますが、半年というのは決して長くはありません。
はじめのバリトンソロと、B durの男声合唱のソロ部分は、それぞれ男の子がソロにチャレンジしていました。これもスゴイ。
一度の合わせで…
本番直前の10月31日(水)、初めて社中学校にお邪魔して、体育館にて2時間弱の合わせ練習をしてきました。
そういえば、そこまでの過程で伴奏がどのくらい付いていたのか聞き忘れましたが、伴奏が入っても、みんなほぼ迷いなく、しっかり歌っていました。あー、これはよっぽど練習したんだなー、と。
とにかく鷲澤先生の音楽に対する情熱がものすごいのですが、それに子どもたちがガッツリ応えて、一丸となって歌う姿は印象的でした。
およそ150名ほどの小規模な学校ですが、それを覆すような声量だったため、フタ全開で久しぶりに全力で弾きました。
本番当日を迎えて
皆さん準備に忙しい中、駐車場からのお出迎えで案内していただきました。
9:20分くらいに会場入りし、控室に荷物をおいて即舞台へ。
控室の写真。
物々しく「第九」ピアニストとなっておりますが、これは我ながら納得してしまいます。理由は記事終盤にて。
ホールの様子
約700席の大ホール「やまびこホール」です。
ちなみに小ホールは「あすなろホール」。ホール名が付いているのって珍しいかも?(地元上田市ならば信州国際音楽村「ホールこだま」や東御市文化会館「サンテラスホール」など…あ、結構あるか。)
舞台セッティング
ピアノはYAMAHAのCF III 。なかなか年代モノのようですが、しっかり鳴ってくれて弾きやすく、今回の伴奏にはあってました。
ポイントはピアノの置き位置と角度。「歌う人に視界を阻まれて指揮が見えない問題」は合唱あるあるですが、見えりゃ良いってだけではなく、あまり首を横に向かずに指揮が見えるのが本当は理想。伴奏者の生徒さんはその点かなり気にしていたので、先生や僕もアドバイスに加わり、念入りに調整しました。
とにかく慣れない場所・状況でいつも通りのパフォーマンスを発揮出来るように、ひとつでも不安要素は取り除いておきたいところです。
プログラムには
こちらがプログラム。
心をゆさぶる音楽を!
心ふるえる感動を!
打ち上げろ!
大輪の社中合唱!!
この音楽会に込めるパワーが伝わってきます!
第九は大トリ…って、今見て気がついたのですが、伴奏者のところ「様」の敬称要らないのに^^;
プログラムに掲載したいと、写真とプロフをお送りしたのですが、そこそこ長いプロフィールを編集しないまま、うっかり送ってしまったんです。そうしたら第九ピアニスト紹介ということで何と、フルで掲載していただきました。
10時からのリハーサルも無事に終わりましたので、しばしお茶をいただいて一休み。
扉を開けると目の前にモニター!
また練習にと、音楽室も別途キープしていただいてありまして、本番前1時間ほどゆっくりと、細かい調整をしていました。おかげさまで準備万端!
ちょっと一工夫
ときどき先生方がお見えになるので、一応不在の時は控室の扉に付箋を貼っておくことに。特に本番より少し早く舞台袖に行くためです。あと音楽室へ練習へ行く用のも作って、貼っておきました。
今回思い付きましたが、ちょっとした工夫も気配りになりそうです。
オケの時などは一人控室でも大体動向がわかるので多分不要ですが、今度から完全外部でお呼ばれしたときは、やってみようと思います。
いざ、本番!
第九の紹介とアナウンスがあり、第九指揮者こと鷲澤先生といざ舞台へ。
出だしは派手なピアノから始まります。ここで一気に、場のテンションと集中力を上げます。
バリトンソロから合唱へ引き継ぎ、4部ソロ部分は歌はないので全てピアノでカバー。
基本的に集中力は鍵盤に向けますが、もちろん指揮者とのコンタクトも忘れてはいけません。
皆一丸となって演奏した第九、終わった直後の拍手はそれは盛大なものでした。
舞台上の中学生や先生からの拍手も、幾渡となくこちらへ向いたため、僕も皆さんへの拍手でお返事しました。こういったステージ上のアクションも、本番ならではの楽しみですね。
舞台で戴いた花束です。
ズームして写した一枚のみですが、全体もかなり立派な、とても素敵な花束でした。
新しい出会い
今回中学生の皆さんとご一緒出来て、一番嬉しかったのは子どもたちからパワーをもらえたことです。みんなとてもはつらつとして、積極的に声をかけてくれました。そういう積極性からも感性がうまれて、それが輪になっていくんだなー…と、そんなことを実感した次第です。
お見送りのさい、来年も(第九をやるならば)ぜひ!とおしゃっていただき、ピアニスト冥利につきるところでした。
今まで諏訪方面は仕事でのご縁がなかったのですが、これを機に自分としても、また活動の場を広げていければと思います。
また鷲澤先生、第九の譜めくりをして下さった先生、校長先生はじめ多くの先生方に、今回大変お世話になりました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。
第九は「ピアノ伴奏」というより「伴奏ピアニスト」
最後に一点、書かせて下さい。
演奏経験があったり、楽譜だけでものぞいたことがあるピアニストならお分かりかと思います。
この伴奏、むちゃくちゃ難しいです。
誤解を恐れず言うならば、伴奏の範疇を超えています。
まあ元がオーケストラだから仕方ないね。
では済ませたくないです(笑)
オーケストラを10本の指用に集約させればこうなるでしょう。よく言えばありとあらゆるパートを上手く、惜しみなく詰め込んでる感じです。
オペラ作品の伴奏とかも同じ状況ですが、なぜか第九は話が別。正直、本来演奏するテンポで完全楽譜通りに弾くのは、かなり無理のある部分が存在します。
「でもピアノって<超絶技巧>とか名の付く曲、やるじゃん?」
いや、確かにリストの作品ありますけれど、そういう問題じゃない。それはあくまでピアノ作品ですから。初めて楽譜を見たのは大学生の時でしたが、思わず笑っちゃいましたよ?
改めて楽譜を調べたのですが、誰がピアノ版に起こしたのかが、しっかり書いてありません。どゆこと?
と、嘆いてばかりではピアニストの名折れです。実際技術的にはかなりの練習になりますから、がっつりおけいこさせていただきました。
実は、過去にはある程度長い期間にわたって、大合唱の練習にこの伴奏を弾いていましたが、あくまで「練習時用」だったので伴奏の中身は相当抜き抜きでした(むしろポイントポイント、合唱の音をとらなくちゃいけなかったくらい)。
その上で、今回の依頼から本番2週間です。
本番の伴奏として形になるように、楽譜のドコをどのように工夫して弾くかを時間をかけて研究しながら、練習に臨みました。
おかげでピアノもちょっと上達したかな?
こと、合唱のピアノであれば「ピアノ伴奏(者)」と記されることが多いのですが、「第九」に関しては「ピアニスト」となるのはうなずけます。
せっかくの”縁”で演奏出来た第九ですので、いつお話しが来ても短期で対応出来るよう、これからは時々弾いていこうかと思います。
また演奏機会があれば、その時にはもちろん、よりもグレードアップした内容でお届け出来るよう、頑張ります!
それでは今日は、この辺で!
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