ピアノで伴奏するときに気をつけたいことって?

教室・教育
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こんばんは。木内です。

たまには真面目にピアノのお話しをしましょう。

 

先日も、とあるコンクールにてピアノ伴奏を弾かせていただきました。ピアノ伴奏自体はステージ数も多いのですが、コンクール出場者の伴奏はとても久しぶりだったのでなかなかの緊張感でした。

 

今日のポイントは、日ごろのピアニストとしての経験からピアノ伴奏のあり方について、僕なりの考えや心がけている事を書きたいと思います。

 

ソロ楽器としてのピアノ

まずソロでのピアノ演奏ということを考えた場合。

ピアノは基本的にその1台で演奏が完結する楽器なので、演奏の初めから終わりまで、全て自分のペースになります。

当たり前ですが誰も助けてくれないので、自分で始め方を決めて演奏を開始しなくてはなりません。自己責任です。

 

その分、自由さがあります。ある程度、楽曲を練習して研究した上での話ですが、演奏のたびに曲のイメージを変えながら、誰に気を遣うこと無く自由に音楽の流れを作ることが出来ます。

そういう点はピアノに限ったことではなく、例えば無伴奏のヴァイオリン作品など、そういった楽器を一人で演奏する時も一緒ですね。

 

伴奏としてのピアノ

本題に入る前に、ピアノ伴奏について聞かれる話題をいくつか挙げます。

 

「伴奏だって同じピアノなんだから、特に変わらないんじゃないの?」

 

最近は耳にしなくなりましたが、とんでもないです。ピアノソロ曲を弾くのとは勝手が違います。

 

それに対して

 

「ソロの楽器が主役なんだから、ピアノ伴奏が前に出ちゃいけないんだよね?」

 

こちらはよく聞きます。正しい部分もあるかもしれませんが、僕は基本的なスタンスとしては違うと考えています。

 

この2点はある意味相反する考え方ですが、まとめて整理してみましょう。

 

単純に音量バランスの話ならば

 

ソリストの楽器や曲にもよりますが、まずソロ演奏を全体的にかき消してしまうようなピアノの弾き方は御法度です。つまり大きすぎるということ。

 

かといって遠慮して小さめに弾いておけば良い、弾かなければならないというものでもありません。

もちろんソリスト本人や指導者から指示があった場合は調整します。

しかし不用意に小さいだけというのは、ソリストに不安を与えてしまう場合もあります。

何よりも、その作品におけるピアノ伴奏の存在意義がなくなっていまいます。

 

合唱伴奏となってくると、またこれはこれで神経を使うところなのですが(使って欲しいです)、さらに練習においては、出欠状況でその日のコーラスの音量が大きく変わる場合もあります。

そこまではあまり気を遣う必要は無いかも知れません。指揮指導の先生に相談してアドバイスを戴くのも手です。そういったことからコミュニケーションを取ることは大事です。僕も2団体伴奏をさせていただいてますが、よく先生と色々なお話しをします(というか片方は母なんですが)

それでも気になる場合は、可能ならば一部でも練習を録音しておき、確認すると良いでしょう。自分の耳で確認出来ると安心出来ますよね。ホールでの演奏でしたらリハーサルが絶好のチャンスです。

 

呼吸の合わせ方(ソリスト編)

 

音量云々より難しいのが、(必要とあらば)演奏者とキチッとタイミングをあわせること

必要とあらば、と前置きしたのは、そこまでしなくてもよい場合もたまにあるため。でも基本的にはキチッと合わせた方が良いです。

 

ひとくちに「合わせる」と言っても、ポイントはいくつかあります。

 

まず非常に具体的なところから。「動きを見ましょう・感じましょう

これは声楽なのか、弦楽器なのか、管楽器なのかと楽器によって随分変わってきます。多少の違いがありますが、声楽と管楽器は息を使う楽器なので、息づかいを感じる(動きを見る・ブレスを聞く)、ないしは弦楽器は弓の動きを見るのが一番分かりやすいです。

ただしこれは出始めやフレーズの区切りなど、ポイントポイントでのお話し。流れているメロディーで全てを確認しようとするのは大変ですし、何より音楽的ではありません。

なので

 

ソリストのテンポ感と音楽の流れを感じる

 

音楽としてはこれが本題です。ここに尽きます。

まず冒頭テンポの確認は最重要。あと途中でテンポが変わる場合は更に注意(これは僕も反省点あり)

あとは何度かご一緒している奏者だとクセが分かってくるはずなので、そのフレーズ感に一緒に乗ること。

 

そして

 

一瞬でも伴奏が飛び出ないこと

 

飛び出るというのは…つまりピアノが早く出てしまうこと。最も重要なのはこれかもしれません。ソリストによってはこの点に非常に厳しい方もいて、多少遅れるくらいでもいいから、という場合もあります。

時間にすると、0.2秒くらいでは既に大問題…という位もあります。

 

呼吸の合わせ方(合唱伴奏編)

 

呼吸の合わせ方自体はソリスト伴奏と同じ考え方で良いのですが、「指揮者がいる」というところが大きな違いです。(いない場合もあります)

 

前奏がある曲ならば、指揮者とピアノが先行して演奏するわけですから、合唱が入ってきても基本的に指揮に合わせてそのまま演奏すれば…

 

と、そういかないのが難しいところ。合唱伴奏で悩まれているピアニストの方も多いことと思います。

事例別で整理してみましょう。

 

「合唱が段々遅くなる。指揮はそのまま(=合唱より気持ち先行する)か、合唱に合わせる感じにとれる」

遅くなることは一番よくある例です。僕の対応は次の通り。

・まだガッツリ練習中の曲で、合唱の雰囲気が良くタテ線(タイミング)がキチッとあっており、その遅さで合唱が迷わないようであれば歌に合わせる歌と指揮の間のテンポに落とす。ただし遅くなりすぎて、合唱がリズム迷子になりそうならば(つまり演奏に支障をきたしそうならば)サッサと巻く(元のテンポか、可能ならば僅か速くする)

・仕上がってる曲(もう歌える)で、上記の通り雰囲気が良ければ合わせる。が、そもそもテンポが遅くなることが課題として全体で共有出来ている場合、もしくはキチッとしたテンポで演奏出来なければ困る場合は、少し巻く。

 

「合唱が段々遅くなる。指揮はそのままか、むしろ巻く」

・これは練習中か仕上がってる曲かに関わらず、指揮に従います。

 

合唱が(段々)速くなる

・僕の経験では、段々速くなることは正直稀です。段々がカッコ書きなのは、テンポが速くなると言うよりリズムが焦ってしまうのが原因になることが、割合として多いため。この場合、指揮は本来のテンポでしっかり指示することが多いので、ピアノも頑張っていっしょに戻そうとします。

 

全体的に迷ってる感を感じた場合

こうなるとこっちまで迷ってしまうことがありますが、この時はつい先程までテンポ感を思い出し(不変なら冒頭のテンポ)、リードするように演奏します。慣れてない曲で難しかったりするとたまに発生します。

 

指揮の打点の認識と実際の発音のタイミング

……うーん。見出しをつけてしまいましたが、これは次の機会にさせて下さい。

悩む人、多いと思います。

 

伴奏ピアニストとピアノコンチェルトソリスト、パーカッションニストの3ポジションやってると、いつも相当迷います。オケ編ででも書こうかな。

 

指揮を見ましょう

そもそも論ですが…

おそらく見ないことに起因する、タイミングのズレなど気になる場合が時々あります。

ずっと見ろ、とは言いません。でも曲の出だしと最後(特に長音で伸ばしている切り)くらいは見ましょう。指揮者と演奏においてコミュニケーションを取ることは非常に大事だと思っています。

 

番外:ピアノコンチェルトのソリストとして

「上田アンサンブル・オーケストラ」にて幾度かコンチェルトを演奏させていただいています。

コンチェルトソリストとしてピアノを弾くときに、タイミングという点で自分なりにポイントとしていることは…

 

指揮者、オーケストラ、そして自分…3つのテンポ感を常に感じること

 

ネタ話でも真剣な話でも、よく僕が言っていること。

これは非常に難しいのですが、よほどゆとりが無いとき出なければ気を配っています。ただそれだけに気を配りすぎては、単に合わせるだけの演奏になって自分がなくなってしまいますので、そこは流れを読みながら自分の音楽を出します。

 

決して、要求されているわけではありません。これはあくまで自分のこだわりであり、意思です。でもここまでやろうとすると、ここまで自分が納得出来るように取り組むと、一緒に演奏していて楽しくなります。

 

時々、胃に穴が空きそうになりますが(泣)

 

ショパンの1番の3楽章では一部、本当に聴いている余裕が無くて…珍しく自分の世界で弾ききってたので「合ってくれー」って思ってました。本番の話です。

結果、何も問題が無かったのですが(蝶ネクタイが取れかけてたので、間奏で外したくらい)、普段無意識にもしっかり聴いてるオケが、耳に入ってこない怖さを知りました。

 

誰かと一緒に演奏することの素晴らしさ

ピアノは1人で何でも出来てしまいますし、派手です。しかしその分、他の楽器に比べて孤独な楽器、という印象もあるかもしれません。

僕もピアニストではありますが、伴奏はもちろんアンサンブルも好きです。

いつも楽しく演奏し、時に四苦八苦しながら日々、勉強させてもらっています。

 

どんな形態でも作品を、そして音楽自体を楽しむことを忘れてはいけませんね。

 

ピアノ伴奏に関しては、音楽家によって様々な考えやご意見があると思います。

今回は僕なりの考えをお話しさせていただきました。

何かのお役に立てれば幸いです。

 

それでは、また次回!

 

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