こんばんは、木内です。
オーケストラの演奏会での、コンチェルト演奏も無事に終わり、少しホッとした一日でした。
また昨日の記事が想像以上に反響をいただき、大変嬉しいです。
オーケストラも来年に向かっては大変難しい作品が待っていますので、ティンパニーも頑張らなくちゃなーって思っています。(※オーケストラでの活動に関しては、ピアノは小品が来ない限り当面お休みかなと思っているのですが…)
ところで皆さんは「絶対音感」という言葉を聞いたことがありますか?
ピアノの鍵盤を押して適当に音を鳴らしたら、「ド」とか「ミ」とか当てられてしまう、アレです。
何か特殊技術のように捉えられる事が多いのですが、物心ついた頃には既に持っていた人間からすると…なんだろう、これが普通なんですよね。
あると便利!と言われることの多い絶対音感ですが、じゃあどうやったら身につけることが出来るの?と聞かれてかれてしまうと非常に答えにくいです。というか正直なところ分からないです。アイディア程度なら浮かぶのですが…
なので今回の記事は方法論ではなく、絶対音感を持っていて便利なこと、不便していることなど僕の経験を元に書いてみたいと思います。
音感の「程度」のおはなし
ひとくちに絶対音感と言っても、個人によって差があると思います。
次に挙げるのは僕なりの見解です。前後差はありますが、一応先に進むほど精度の高いものとしてみました。
まず最初は相対音感。
- 例えばピアノで「ド」の音を弾いてもらっておくと、「ミ」や「ラ」など、他の音がある程度正確に答えられる。比較で分かるため、絶対に対して相対と呼ばれています。
ここから絶対音感
(※”答える”系は、その回答のスピードは問わないものとします。音は1回につき1つ(単音)とします。正確なピッチの判断基準はは A=440Hz(NHKの時報) としておきます)
- ピアノで弾いた音が、ドレミで答えられる。
- 事前の音を一切聞かない(ノーヒント)で、「ド」や他の音を歌える。
- ノーヒントで、正確にドレミファソラシドの音階を歌える。
以下の二つは同じような感じ。
- 楽器(ここはピアノ以外)や声で音を聞き、それが正確なピッチなのか、外れていれば高いか低いかが答えられる。
- ノーヒントで、簡単なメロディーを音程正確に歌える(要読譜力・リズムの精度は問わない)
以下の二つはピッチの正確性の問題があるため、ラインから外しました。
- 金属を叩く音や救急車のサイレン、踏切の音がドレミで分かる。
- この世界の、ありとあらゆるものが全てドレミで聞こえる(!)
僕は赤字で書いたラスト以外は該当するのですが…
金属音やサイレンはともかく、ボコッとした音の音程までは分かりません。昔、そこまで分かって初めて絶対音感だ、という解釈も耳にしたことがあるような気がしますが、原則楽音程度で良い気がします。
世の中全ての音がドレミで聞こえたら、僕の場合は多分ノイローゼになる。ような気がします。
音当てクイズ
ところで高校の頃、友達が僕に対してよく遊びでやっていました。
友達がピアノを弾いて、ドレミを当てる。もちろん鍵盤を見ずにです。
絶対音感の程度の部分で項目に挙げましたが、僕の場合はスピード勝負。
まずウォームアップ。単音であればコンマ2,3秒が目標。でも一番低いところから数個の場所は勘弁願いたい >_<
そして重音(2つの和音)、3つの和音、4つの和音と増やしていきます。増える毎に指数関数的に難易度が上がり、答えるまでに時間がかかります。
流石に両手を駆使して不協和音を奏でられた場合は、考え込みます。
(社会人になってから、音楽の先生になった友達が講師で読んでくれる際にリクエストされ、実際に子どもたちの前でやりました)
歌い出しの音を取るのにピアノいらず
合唱などのときにも、例えば伴奏を付けずに歌い始めるとき、いきなり始めようとするとどの高さで歌ったら良いか分からないときがあります。
しかしここが絶対音感の非常に便利なところで、音程を取ることに関しては自分の中に楽器があるのと同じです。
なので授業においても「ミの音ちょうだい」とか、楽器が代わりになることがよくありました。(絶対音感持ちあるあるだと信じたい)
「聴音」で有利に働く
こちらの記事で書いた「聴音」、楽譜の書き取りです。
ピアノなどで弾かれたメロディーや和音を、音程・リズムとも正確に楽譜に書く技術です。聴音というと教育の分野になりますので、実際の作業で表現するなら「採譜」でしょうか。もしくは「耳コピ」
各メロディー・和音には、必ず調性という音階の概念が備わっています。ト音記号のすぐ右の、シャープやフラットがそれです。もちろん音符の横に付くこともあります。
なので、スタートさえ聞き間違えなければ、いわゆる相対音感的な方法で音を取っていく(=頭の中で理解する)ことが可能です。
そこに絶対音感が加わると、例えば音程が上下に跳ねて前後の音が比較しにくい時に、比較の必要無く1つ1つ音を取れてしまいます。
持っていると便利なんだと思います…というかその状態で普通に過ごしてきてしまったので、あまり優位さを感じないのが正直なところ。と言ったら怒られそう、うん。
でも絶対音感に頼りすぎると、和声聴音(理論に基づいて作られている和音の聞き取り)にて、確信を持ちすぎて思い込みで違った!という落とし穴に落ちることがあるので、該当する方は注意が必要です。(細かく言うと4声開離の3和音転回系で、響きの良すぎるものを間違えることがある。前後繋がりを冷静に判断すれば間違えに気がつくはず)
聴音は最終的に記憶勝負だよなぁ…
余計に神経を使うことも…
話がそれました。
ここまでずらっと書いたこと、いかにも便利そうです。
自分では「当たり前」のことと思っていても、こうして書き出してみると確かに便利です。
でも苦労することも多いんです。
さきほど、「音程正確に」ということを書きました。
「正確に」
高いか低いかピッタリか正確性が判断出来る、正確に歌える。
裏を返せば
正確でないものが気になる
僕の場合デメリットは二つあり、大きくはこれが一点だと思うんですが。
母曰く、幼稚園の先生に指摘入れたことがあるようです。オハズカシイ…
そのため
中学くらいまでは日々ツッコんで、
高校・大学あたりで我慢することを覚え、
社会人になってから何年もかけて、センサーをオンオフする(つまり不要なときにスルーする)技術を身につけました。
コーラス伴奏や指導の経験のおかげで、センサー感度を換える技術も身につけました。全てスルーしては指摘するべき時に指摘出来ませんし、かといってフルにリミッター解除したら練習が進みません。
移動ドが大の苦手!
こちらのほうが機会は少ないですが、困るときは困ります。
楽譜をドレミで歌うときに、固定ド唱法と移動ド唱法という2種類が存在します。
固定ドはその名の通り、「ド」なら「ド」と歌う方法です。(これは音名)
移動ドは音階に応じてドの位置を変えて歌うのです(これは階名)。このほうが相対的にとりやすいメリットがあり、僕の高校勤務時代も、学習指導要領では移動ド唱法が推奨されていました。
しかし。
これは絶対音感持ちにとってはこの上ない苦行です。
怒りすら沸いてきます。
「ド」は「ド」なんですから。
声を大にして言いたい。
音程が取りやすくするために使う移動ド唱法なのに、無理矢理使わせたあげく、かえって取りにくくなっては本末転倒です。
なので、学校にしろ個人教室にしろ音楽教育の現場においては、児童・生徒の様子に合わせて柔軟に対応すべきだと思います。
これは子どもの頃から思っていたことです。
余談ですが、音楽専門教育のソルフェージュの分野においては、移動ドで歌うことも「勉強」としては必要かもしれません。先生が移動ドで歌うぞ!って仰ったら、素直に従いましょう。
困ったら、階名を歌詞だと思って乗り切りましょう。もしかすると将来、必要な現場に遭遇するかもしれませんよ?(←実話)
これも技術のうちです。
音感の話は止まらないのですが
絶対音感を中心に、音感に関することを思うままに書いてみました。
まだまだお話しは色々あるのですが、それはまたの機会にとっておきましょう。
それでは、今日はこの辺で!
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